少し前から古本屋に出入りする様になり
考古学の本にハマり始めた。
古代、天体や地球上の自然、
それから起こる自然現象を畏怖して
太陽や月、天空の星々、山や川
大きな樹木や岩などに神や精霊が宿るものとして崇拝し、それに対する祈りの場を設けたことが信仰の始まりであることに異論はないでしょう。
その代表的なものに日本の”神社”がある。
実は神社は”子宮”を表しているんではないかと仮説を立てている考古学者が多い事がわかって、
わりと信憑性の高いお話かもしれない。
“日本列島は、太古の昔より海を渡って入ってきた実に多様な文化が混じり合い、じっくりと熟成されて固有の祭祀形態が築かれていった。
そして長い長い年月を経て、神社という祭祀の中心となる場を妊娠した女性の生殖器を表すものとして作り上げていった可能性がある。
産屋での安産祈願が神社参拝の起源かもしれない。
神社の社殿は子宮を意味しており、鏡は胎盤を表すもの、勾玉は胎児を現したものとしてご神体として大切に祀った。
しめ縄はへその緒(臍帯)をモデルとして着想し、境内にある手水舎や近くに流れる川は清らかな羊水を意味しているのかもしれない。
つまり、神社には、子宮、胎盤、臍帯、胎児、羊水を表したものが全て揃えて祀られていることになる。
神社は新しい生命が産まれる聖域の象徴であり、祖霊の魂が再生される神域でもある。
安産祈願や出産後のお宮参り、更に産まれた赤ちゃんのへその緒を一生大事に保存する風習は日本固有の素晴らしい文化である。
女王が君臨した3世紀に出現した前方後円墳も子宮を模倣して築造した可能性がある。
古代人が子宮の形を模倣して前方後円墳を造った理由は「再生」に対する強い願いであろう。
「亡骸を子宮に戻して再び胎児に帰れば、魂が再生する」という古代日本の宗教観である。
この母性的な宗教観は、海を渡って島伝いに徐々に持ち込まれた多種の古代文化がいり混ざって出来合っていったのかもしれない。
縄文時代に作られた土偶は、日本芸術の原点と言ってもよく、私は妊娠中毒症の妊婦をモチーフとしたものと考えている。”
*『生殖医学から古代の謎に迫る』著 江本 精 一部抜粋。
私は2020年12月末、元伊勢籠神社、真名井神社とい丹後半島に鎮座する神社へ参拝に行きました。
大変厳かな空気に包まれた独特な雰囲気は未だに忘れられません。
実はこの、籠神社の”籠”という字は身籠るの籠であり、人を入れるかごを表しているそうです。
まさに子宮は神社だという説を支持する最も象徴的な古社であると感じました。
さらに、籠神社の裏手の小高い丘には、その奥宮である真名井神社がひっそりとたたずんでいて、その境内には大きな石を集めて形にしたと思われる古代の産盥が祀られています。
産盥(うぶだらい)とは赤ちゃんが産まれて最初に湯につかり身を清める浴槽のことです。
この産盥が、推測ですが弥生時代からの聖域だった元伊勢籠神社に今でも祀られている事に感動し、改めて日本人の感性は素晴らしいと涙が出ました。
“禊”の発祥源は沐浴から来ているそうで
産まれてから1番最初に浴びる水を”産湯”といい、身の清めとして神道の儀式として行われてきました。
その時に使われる神聖な場所が
産盥となるわけです。
ああ、私達は、子宮に祈りや感謝を伝えに参拝をしていたのかと、大変温かい気持ちに包まれ
女性に対する敬意とその生殖器への神聖な想いが胸に込み上げてきました。
日本の考古学はまだまだ知られざる過去が沢山あり、日進月歩の医療に比べて謎が多いです。
けれど、生殖器の観点から見た考古学は面白く、解明への色んな局面をもたらしてくれるのではないかと考えています。
写真は、昨年末の真名井神社。